あなたは数学の授業が好きですか?数学は好き嫌いが分かれる科目です。当コラムの【効果的な勉強法】やる気を出すには では、「自分が好きなことと関連付ける」というコツをご紹介しました。

たとえ数学が嫌いでも、音楽は好きな人は少なくありません。スマホにYouTubeやApple Music、Spotifyなどのアプリをダウンロードして、ヒットソングをワイヤレスイヤホンで楽しんでいることでしょう。

CDを購入して、お気に入りのアーティストを応援しているかもしれません。
ポップミュージックよりもジャズやクラシックの方が好きでしょうか。

無意識の計算を楽しむ

ここで、紹介したい言葉があります。17世紀の数学者で、微積分法という計算方法を独自に、またニュートンとほぼ同時に発見した人の言葉です。

「音楽とは、計算していることに気づかないまま計算を楽しむ快楽である」
ゴットフリード・ライプニッツ

つまり、音楽には数学の世界が隠されているということです。しかも、「気づかないまま」とありますように、私たちは無意識のうちに計算を楽しんでいるという意味です。どういうことでしょうか?

協和音

ピアノの鍵盤を見ると、以下のようなパターンで白鍵と黒鍵が繰り返し並べられています。

この中から3を選んで同時に押し、和音を聴いてみてください。ピアノや電子オルガンを持っていなくても、鍵盤を押して音を出せるアプリがあるので試してみてください。

心地よく聞こえる和音は協和音と言われています。

ミ-」という組み合わせの協和音について、これらの音がどれくらい離れているかを数えてみましょう。

数えやすいように、鍵盤の形を変えています。

図に書かれている数字のように、鍵盤の間を数えていきます。

(ここでの数え方は「完全1度」や「長3度」といった、「度」という単位で表される音程の数え方とは異なります。)

「ド」と「ミ」の間は4離れています。

「ミ」と「ソ」の間は3離れています。

「ソ」と「ド」の間は5離れています。ただし、「ド」と1オクターブ高い「(ド)」があるはずの位置は重なっているものとして数えます。

というのは、この短い鍵盤を以下のように丸めてみると、シの右隣に「ド」がくることになるからです。

このように、「ミ-」という協和音は4-3-5という間隔の和音だということが分かりました。

同じように数えると、「レ-」という協和音は3-5-4という間隔で、「ファ-」という協和音は3-4-5という間隔の和音であることがわかります。

音の間隔の数字に注目してください。これら3つの数字の組み合わせをどこかで見たことはありませんか?

3辺の長さが3、4、5の三角形を描いてみましょう。その三角形の三つの辺のそれぞれに、ぴったりと重なるように正方形も描いてみます。

三平方の定理

実はこれらの正方形の面積には以下の関係があるのです。

つまり、


という関係が成り立ちます。
協和音の間隔を基にして描いたこの青い三角形は、直角三角形だったのです。(∵三平方の定理の逆)
先ほどの円筒形の鍵盤で協和音を弾くと、直角三角形の頂点の位置に指を三本置いていることになります。

まとめ

協和音という心地よく聞こえる和音を3つの音でつくると、それらの音の間隔は3、4、5という数字の組み合わせになりました。

それらの数字を辺の長さとする三角形をつくると、三平方の定理が成り立つ直角三角形になりました。

音楽を楽しんでいる私たちは、無意識のうちに計算を楽しんでいるといえるかもしれません。

参考文献:『数学ワンダーランドへの1日冒険旅行』秋山 仁/マリジョー・ルイス著 近代科学社