やらなければならないと分かってはいるのに、つい先延ばしにしてしまうことはありますか。
“Procrastination is the thief of time.”—Edward Young, c. 1742.
という英語のことわざがあります。「ぐずぐずするのは時間の泥棒である」ということです。
失われた時間は取り返すことができるでしょうか。
ぎりぎりまで何もせず、やるべき事をきちんとやらない(かも)しれない人がいるとしましょう。
あなたはその人を信頼して大事なことを任せますか。
大切な時間とわたしたちの信用がかかっています。やる気が出ないとしても行動する必要がありますね。とりあえず勉強を始めるとそのまま続けられることも少なくありません。これは作業興奮と言われています。
そうは言っても、やる気が出ればストレスをあまり感じることなく勉強を始められるのに、と思いませんか。
では、そんな理想的なやる気を出すにはどうすればよいのでしょうか。
自分が好きなことと関連付けてやる気を出そう
一つの方法は、好きなことと学ぶべきこととを関連付けるというものです。
ところで、電車好きの幼い子どもが駄々をこねたとき、どうしたらよいと思いますか?
電車のつり革を介するなら喜んで付いていくそうです。それと同じような発想です。
もし好きなことが無いとしたらどうでしょうか。
あなたが小さかったころに好きだったことは何でしたか?ぜひ思い巡らしてみてください。
もし宇宙や恐竜が好きなら、理科でそのことが学べます。
図鑑を眺める程度で満足しないでください。分からなくてもいいので、少し専門的な本を手に取ってみましょう。化学や物理、地学などの教科書に載っているものと同じ言葉を探してみましょう。
研究の道具として使う数学の勉強は手が抜けないことも分かるでしょう。
最新の情報や専門的な情報を得るには英語が欠かせません。これはどの分野にも言えることです。

(写真はカワセミの嘴を参考にして設計された、E500系新幹線)
好きなレクリエーションと関連付けてやる気を出す
もし音楽が好きなら、音楽という科目だけに目を向けるのはもったいないです。歌詞の理解や表現のための語学力も関係しています。好きな作曲家が生きた時代の歴史や場所などを調べてみましょう。
音楽ホールの設計など、楽器や声の音を音波としてとらえる場面もあるので、物理や数学の知識も関係しています。スピーカーの設計と制作に挑戦してみることもできるでしょう。
もしゲームが好きなら、その内容に登場する物や要素を考えてみてください。何かの科目と関連付けることができるかもしれません。プログラミングに興味はありませんか。プログラミングについてのウェブサイトを覗いてみましょう。数学や英語の素養が必要になることが分かるでしょう。
もし時代劇が好きなら、好きな人物についての歴史や古文書を調べてみましょう。その登場人物の時代背景についての理解が深まります。経済史や自然史、文学史といった○○史という言葉があるように、歴史という観点から多くの分野へ興味を広げていくこともできるでしょう。
広い分野の(学際的な)知識を持つ講師に教えてもらえますか?
何気ない雑談から生徒が関心を持っている分野を把握して、好奇心を刺激してくれるでしょう。
好きなファッションや食べ物からやる気を引き出す
ファッションが好きな人は少なくありません。お持ちの洋服のタグを見てください。
どんな繊維が使われていますか?天然繊維なら、どこで生産されたものでしょう?その土地の気候や土壌を調べてみましょう。化学繊維なら、文字通り化学の勉強ができます。
良い服を選びやすくなる効果もあるかもしれませんよ。
UVカット率なんて、物理の実験みたいです。どうして紫外線をカットできるかを調べてみましょう。
世界の伝統衣装やそれらの歴史を調べて、現代の服と比べてみるのも面白いでしょう。

食べ物や飲み物が嫌いな人はあまり居ないと思います。ネットスーパーなどのページを開いて、好きな食べ物を検索してください。世界や日本の地理の教科書を片手にです。加工食品のラベル表示に注意すると、化学の勉強のきっかけになるでしょう。
好きな食べ物が美容や体にどんな影響を与えるかを調べてみるのはどうですか。理科や生物の教科書に出てくる言葉がないか探してみましょう。
本を読んで自分の世界を広げる
テストとして動画を見て、その理解を問われることなどあるでしょうか。
普通は沢山の文章を読んで理解することが求められますので、本を読むことが勧められています。
本を読むことには読解力や思考力を高めるだけでなく、自分の世界を広げる効果もあります。
自分の好きな本を探してみてください。カバーや絵がきれいだからという理由で選んでも構いません。
本を読んで自分の世界が広がるほど、好きなことを見つけるチャンスも大きくなります。

物で釣るとやる気ダウン?!
ここで保護者の皆様にお願いしたいことがあります。
すでに勉強をする意欲があるにも関わらず、もっと頑張ってもらうためにご褒美をちらつかせないでください。その効果は一時的です。
かえって、お子さんのやる気が長期的には奪われてしまうかもしれません。
これは、「アンダーマイニング効果」と呼ばれています。
人をやる気にさせるもの、つまり動機にはいくつかの種類があります。
好きだから、楽しいから、好奇心が満たされるからなどという動機※で自律的に勉強をしていた人に金銭的な報酬が約束されるなら、元々持っていた動機が低下してしまうそうです。
※ このような自律的な動機のことを「内発的動機付け」といいます。
努力や気づけたことを誉めてもらう
テストの点数が低い原因の多くは、効果的に勉強をしていないからです。
生徒一人一人の努力や気づけたことが教師に適正に評価されるなら、生徒は自分の能力が見出され、しっかりと受け入れられていると感じます。
そして、自信や喜びが積み重なってやる気が湧いてきます。
また、成功体験を積み重ねるために無理のない目標を一緒に考えて、チャレンジするよう絶えず励まされる必要もあるでしょう。
まとめ
自分が好きなことと勉強している内容を関連付けてみましょう。
好奇心を持って自律的に勉強できるようになるなら、テストや宿題がなくても勉強するようになります。読書をして自分の世界を広げるなら、そのチャンスは大きくなります。
クラッセの授業では頻繁に質問をされるので、その分多くの努力や気づけたことがしっかりと評価してもらえます。それがやる気の向上につながっていきます。
➡ 【効果的な勉強法】「やる気」には4つある? もご覧ください。